講師派遣報告/鈴鹿大学

本講座は、鈴鹿大学こども教育学部の翠川薫教授より依頼を受け、こども教育学部こども教育学科3コース(養護教諭コース、小学校教諭コース、幼稚園教諭・保育士コース)の1年生、計45人が受講する授業「キャリアデザインⅠ」の1コマとして実施したものです。

概要

開催日時 2024年7月31日(水) 2限目(10:40~12:10)
場所 鈴鹿大学B205教室
主催 鈴鹿大学こども教育学部こども教育学科 翠川薫 教授・木村幸泰 教授
対象 こども教育学部こども教育学科1年生(養護教諭コース、小学校教諭コース、幼稚園教諭・保育士コース各15人計45人)
講師 林 羊歯代(NPO人にやさしい色づかいをすすめる会/愛知産業大学)
テーマ 色覚の多様性とカラーユニバーサルデザイン
内容
  1. 色覚の多様性
    • 色覚タイプ
    • 色が見えるしくみ
    • 色弱について
    • 色弱者の見え方を知る(混同色を理解する)ためのワーク
  2. カラーユニバーサルデザイン(CUD)の基本
    • CUDの推進団体
    • CUDの事例
    • CUDの方法
  3. まとめ

講座の内容

本講座は、鈴鹿大学こども教育学部の翠川薫教授より依頼を受け、こども教育学科3コースの合同授業「キャリアデザインⅠ」の1コマとして、「色覚の多様性とカラーユニバーサルデザイン」をテーマに実施したものです。受講者は養護教諭コース、小学校教諭コース、幼稚園教諭・保育士コース各15人、計45人で、卒業後は子どもの教育に携わることを目指す方も多く、色覚多様性に関して正しい知識を持つか持たないかで教育の質が大きく異なってきますと言葉をかけると、皆さん真剣に耳を傾けてくれました。鈴鹿大学では2020年1月、2021年12月、2022年6月に続き4回目の講義となりました。翠川教授から、色覚の多様性とCUDの知識は教育職を目指す学生にはぜひ知っておいてほしい内容だからと、今回も貴重な機会をいただきました。

講座は二部構成とし、前半が色覚全般についての説明、後半がカラーユニバーサルデザイン(CUD)の基本的な考え方と事例の紹介となっています。前半では、まず色が見えるしくみと色覚タイプについての基本的な説明を行いました。今回は色覚タイプについてひじょうにわかりやすく解説した4分程の動画(YouTubeで公開)を利用しました。東京工芸大学の色の国際科学芸術研究センターが作成したものです。
https://www.youtube.com/watch?v=6LvFBlzoRQg

また色弱者の色の見え方の特徴を知る当会オリジナルのワーク(バリアントールもしくはスマホアプリ「色のシミュレータ」を使って色紙を分類し気づきを共有するワーク)も行いました。このワークは色覚の多様性を実感してもらうには効果的です。スマホアプリ「色のシミュレータ」を全員がダウンロード。P型かD型の見え方にシミュレートされる画面越しに50色の色紙を見て、似たもの同士4つのグループに分けてもらい、感想を自由に述べ合う15分ほどのワークです。青系のなかに紫やピンクが混じる,黄緑と橙が同じグループに入っていること等を実際に体験してもらい、その後で色弱当事者による同様のワークの結果と、見分けにくい色の組み合せの資料を見せて、学びを深めてもらいました。

後半は、日本におけるカラーユニバーサルデザイン(CUD)がどのように展開されてきたのか、岡部正隆氏と伊藤啓氏らによるカラーバリアフリー概念のウェブサイトでの啓発を嚆矢として、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構とそれに続く推進団体の活動と実績(ハザードマップや安全色彩、鉄道路線図等々)を紹介し、さらに色覚シミュレーションツールと推奨配色を使った具体的なCUD手法について解説しました。

実質80分弱の講義ではすべてを十分に伝えきれないため、スライド資料にはCUD関連の文献情報を詰め込み、授業資料としてデータ配信してもらいました。今後必要になったときに、それらの文献を参考に独習してくださいと伝え、講義を終了しました。

学生の感想

後日、受講した学生さんの感想が鈴鹿大学から届きました。「キャリアデザインⅠ」授業ワークシートの設問のひとつに、「今日の講義を聞いて学んだこと、考えたことなどを書きなさい。(200文字以上)」があり、39人の回答がまとめられていました。そこでは、色弱者の見え方に対する新鮮な驚きと、今後教諭として子どもたちと接する時に役立つ知識が得られたという感想が多くありました。「子どもたちのなかに色弱者がいるかもしれない」という意識をもち、誰も困らない学習環境を作りたいという思いを複数の学生さんが書いておられ、今回のように養護教諭コースや小学校教諭コース、幼稚園教諭・保育士コースの学生さんを対象にした講座の意義を再確認する機会となりました。
こうした貴重な機会を与えてくださった鈴鹿大学の翠川教授、木村教授と学生の皆様に感謝いたします。

以上 (2024年10月15日作成)

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