第15回CUD勉強会「教科書会社が目指すカラーユニバーサルデザイン―あたりまえを実現するための取り組み―」(オンライン開催)

当会はCUD(カラーユニバーサルデザイン)について、当会会員およびCUDや色覚多様性に興味・関心をお持ちの方を対象に、関係する各界の専門家にわかりやすく講演いただく勉強会を企画開催し、第15回を迎えました。今回は、当会の「CUD相談窓口(主に企業・団体向け)」開設記念企画として、「教科書会社が目指すカラーユニバーサルデザイン―あたりまえを実現するための取り組み―」と題して教育出版株式会社野溝仁美氏よりご講演を、さらにNPO法人カラーユニバーサルデザイン機構伊賀公一氏より教科書のCUD化の現状等ご講演いただきました。

コロナ禍の中でのオンライン開催にもかかわらず60名を超える参加者があり盛況に開催されましたので、次のとおり報告します。

概要

講演 教科書会社が目指すカラーユニバーサルデザイン―あたりまえを実現するための取り組み―
日時 2022年9月23日(金祝) 14:00-16:00
方法 zoom オンライン方式
講師 〇野溝仁美氏
(教育出版株式会社 経営企画推進本部 ブランド戦略部 コミュニケーションデザイン課 主任)
〇伊賀公一氏
(NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)副理事長/当会顧問)
対象 人にやさしい色づかいをすすめる会会員およびカラーユニバーサルデザインや色覚多様性に興味・関心をお持ちの方
参加者 61名(事前申込者70名)
主催 NPO人にやさしい色づかいをすすめる会

内容

  • 当会富永さかえ代表より開催挨拶、団体紹介、活動紹介。
  • 伊賀公一氏講演:
    教科書に関係する話題提供として、数十年前の教科書はカラーではなかったがその後少しずつカラー化が進み、2000年代よりCUD化の機運が出てくるが、当初は色を変えるよりアンダーラインを引く等補助的なことで解決してきた。CUDOが活動を始め、各教科書会社と協議を行ったり、文科省と交渉したりして、教科書のCUD化が進展してきた。CUDOでは教科書のCUD基準を決めそれに基づき検証を行っており、デジタル教科書の相談窓口も設置し、今後のCUD対策および普及を進めている。
    このように教科書のCUD化の歴史、現状、将来について理解しやすく解説された。
  • 野溝仁美氏講演:
    教科書出版社として2010年よりCUDに取り組みはじめ、当初はCUDの取組みはCUDOによる検証と社内での修正を繰り返しCUD化を進めてきた。その後、社内でCUD検証をする体制をつくり(社内の色弱者の協力あり)、一方で外部デザイナーとも連携して勉強を進めてきた。
    基本フォーマットを作りそこから対応していく、現実に近い改善案の提案をする等CUD化への社内の方針を決め実施しているが、令和に入るとCUDだけでなくUDの概念で考えていく、ジェンダー、SDGs等にも対応し改善を行ってきた。約8年かけてCUDがあたりまえの対応になってきたと感じている。最後に、教科書は個人では選べないので、疑うことなく安心して使える教科書を今後とも提供していきたいと話された。

    講演の中で、何点かの具体的な事例を紹介された。

    ・小学校理科の事例:電気の配線(黒と赤)を見やすくする、黒と朱赤に変更する、輪郭線を止める等対応した。もっと別の色、青とかも検討したが現場での実験教材の色が異なると現場で混乱することの懸念から朱赤でいくことにした。
    ・中学社会の事例:地理での地図等の実例紹介。全体のバランス、無駄な色を使わない、色ありきの問題を作らない等改善を重ねた。
    ・その他:教科書作成で難しいのは、1Pの適正な情報量を考慮する、強調色は赤という沁みついた先入観を捨てる、利用する実際の資料の資料性を確認する等である。

    いくつもの具体的な事例を提供していただき、教科書会社がどのようにCUDについて考え、改善を進めてきたか参考になり、他業種、他企業および身近な所でもヒントがあったのではと思われる。
  • 質疑応答:
    事前アンケートでの質問および講演後の直接の質問に対して講演者よりいくつかの回答およびコメントをいただいた。例えば、紙での色使いとデジタル教科書の色使いに違いはあるか。地図の色分けのやり方は。教員用の指導書のCUD化はどうなっているか。学校から直接もらうちらし等のCUD化はどうやって改善してもらったらよいか。等の質問があった。また、上述の理科の電気の図版例に関連して、電気ケーブルの色のルール、JISの参照等の説明を参加者から得られ、教材のCUD化の意見も出された。さらに参加者の当事者からも教科書の色数を減らすほうが見やすいと思う等、双方向の意見交換が行なわれた。

まとめ

60名を超える参加者を迎えて、身近な教科書のCUD問題とその解決という教科書会社の取組みの紹介はわかりやすくためにもなり有意義であったと思われる。実際に、講演後に行ったwebアンケートで「この勉強会がどれくらい有意義だと感じたか」との質問に対し、回答者29人中22人(75.9%)が「ひじょうに有意義だった」、5人(17.2%)が「有意義だった」と回答しており、一応の評価を得たものと考えたい。そして教科書会社が安心して使える教科書を提供していくという姿勢には共感し、教科書が緻密に内容のみならず見やすさ、わかりやすさにも多大な知恵と労力を払っていることに改めて敬意を表する。

当会も主に企業・団体向けを対象としたCUD相談窓口を開設したので、社会が少しずつでもCUDに理解が進み対応されていくことに微力ながら貢献していきたい。

なお、事後アンケート結果から感想記述の一部を資料として添付する。

資料

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