本講座は、鈴鹿大学こども教育学部の翠川薫教授より依頼を受け、養護教育学専攻1年生の授業「基礎ゼミナール Ⅱ」の1コマとして、学校保健室の養護教諭を目指す学生を対象に「色覚の多様性を理解する」をテーマとして実施したものです。

概要
派遣日時 | 2021年12月22日(水) 11:10-12:40 |
場所 | 鈴鹿大学 C棟201講義室 |
主催 | 鈴鹿大学 こども教育学部こども教育学科 養護教育学専攻 翠川薫 教授 |
対象 | こども教育学部養護教育学専攻1年生,「基礎ゼミナールⅡ」受講者4名+教員2名 |
講師 | 林 羊歯代 (NPO人にやさしい色づかいをすすめる会 世話人) |
目的 | 授業のテーマ:専門的な学びを深め、教育行政、福祉、子育て支援等の問題に関心を持ち、学習を通じて教育現場で求められる支援的な態度を身につける。 本講義の目的:色覚に関する講話と演習により知識と理解を深め、色覚に特性のあるこどもへの支援について考える。 |
テーマ | 色覚の多様性を理解する |
内容 | 講座の流れ
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外部リンク |
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講座の趣旨および内容
本講座は,鈴鹿大学こども教育学部こども教育学科の翠川薫教授より依頼を受け,養護教育学専攻1年生の授業「基礎ゼミナールⅡ」の1コマとして,学校保健室の養護教諭を目指す学生を対象に,「色覚の多様性を理解する」をテーマとして実施したものです。鈴鹿大学では2020年1月にも,こども教育学部にて同じテーマで講義をした実績があります。翠川教授は,養護教諭を目指す学生たちには幅広い知見を持ってもらうことが必要,将来色覚検査や色弱の子どもたちと関わることを考えると,色覚特性に関する知識を深め,支援のあり方について考えるとともに,カラーユニバーサルデザインの視点で生活環境を見直すことも重要であると説いておられます。そのため,先の講義(2020年の)と同じ内容でもよいのでワークを含む授業1コマをというのが当会への要請でした。
講座の内容としては,①色覚のタイプとそれぞれの見え方についての講義,②色弱模擬フィルタ(バリアントール)を使った色弱者の見え方の体験,そして③カラーユニバーサルデザイン(CUD)の事例紹介の三部構成です。①では,色覚に正常・異常の区別はなく,血液型と同様に複数のタイプが存在するという色覚多様性の基本的な考え方,色が見えるしくみ,そして2色覚の2タイプ(P型強度とD型強度)の見え方の特徴等について講義。②では,当会オリジナルのプログラムともいえるバリアントールをかけて色紙を5種類に分けるワークを通して,色弱者の見え方を疑似体験してもらいました。③ではCUDの3ポイントといくつかの事例を紹介しましたが,最後はかなり駆け足となりました。
参加学生の感想
後日届いた学生の感想を以下に紹介します(掲載にあたっては学生本人と翠川教授の承諾を得ております)。
講義を受けて学んだこと
- 色弱の方が身近にはいなくて、どのようなものなのかあまり理解が深くありませんでしたが、今回知らないことをたくさん知ることが出来て良かったです。色弱の方のみている色の世界を体験することが出来て、PowerPointの色使いや、もし教師として授業することが将来あれば、深緑色の黒板に赤いチョークを使う時には注意が必要だということを学びました。
- 色弱の子達がいること、それはけっしておかしい事ではないということを子供たちに理解してもらい、差別をなくして色弱の子達が生きやすいような場所をつくる。パワーポイントや資料をつくる時に色の組み合わせを工夫したりしようと思った。
- プレゼンや授業で使用するパワーポイントや資料を作成する際に、どのように色の配色を良くすれば色覚特性を持った人も持っていない人も見やすいかの工夫に生かそうと考えました。又、保健室の掲示物を作成する際にも平等に情報が得られるように試行錯誤していきたいと思いました。
- 事前に少し学習していたけれど、こんなにも詳しく学べるとは思っていませんでした。身近に色弱の人がいないので知らないことばかりでした。NPO人にやさしい色づかいをすすめる会さんは色弱といいますが、学校保健では色覚特性ということを理解しました。ひとりひとりの子どもたちが見ている色の世界を想像できる、わかろうとするやさしい人になろうと思いました。学校生活において、教職員が色覚に特性のある者に配慮し、適切な指導を行うこと。色覚特性に関する正確な知識を身につけておく必要があると思いました。
講師へのメッセージ
- 色覚のお話をしていただきありがとうございました。色覚の多様性についてよく理解することが出来ました。色弱の方がみている色の世界を特別なグラスを通して体験することが出来てとても分かりやすかったです。
- 色弱の事は知っていましたがそこまで詳しくはありませんでした。だからこの機会に知れてよかったととても思いました。色弱にも種類があって認識しにくい色にも特徴があるという事がわかりました。困っていたら助けるし、自然にサポートしていけたらいいなと思いました。子供が産まれたら色覚検査しようとおもいます。
- 今回は色覚特性についての講義に来て下さりありがとうございました。現在、私はLGBTについてのプレゼンの資料、パワーポイント作成をしており、どのようにすれば見ている人に伝わりやすいかという問題の参考になりました。どの色が見にくいかなどの色覚特性の詳しい知識を知り今後の教育や生活に活かしていきたいと思いました。
- このたびは講義に来てくださりありがとうございました。先生から事前に少し学習していましたが、こんなにも詳しく学べるとは思っていませんでした。とても貴重な機会を頂けたのだと感じています。バリアントールで色紙を見て驚きましたが、見え方にも個人差があることを知り、とても興味深いなと感じました。最後に紹介していただいた「カラフルデイズ」「色弱の子どもがわかる本」「色弱の子を持つすべての人へ」を読もうと思います。貴重なお時間をいただきありがとうございました。
色覚の多様性とCUDについてお話する貴重な機会を与えてくださった翠川教授,授業に同席されアドバイスをくださった上田教授,そして養護教諭を目指す熱心な学生の皆様に,心より感謝申し上げます。
資料
翠川薫教授より授業の様子をまとめた資料提供がありましたので添付します。
→基礎ゼミナールⅡ色覚に関する講話_20211222鈴鹿大学(pdfファイル約460kB)
なお鈴鹿大学ホームページの学科情報でも紹介されています。紹介ページはこちら。