令和3年度 (2021年度)「カラーユニバーサルデザイン普及キャラバン隊事業」事業実施報告

NPO人にやさしい色づかいをすすめる会は、2019年度に続き2021年度愛知県委託事業であるカラーユニバーサルデザイン普及キャラバン隊事業――カラーユニバーサルデザイン推進支援講座を実施しました。

概要

事業名 令和3年度カラーユニバーサルデザイン普及キャラバン隊事業――カラーユニバーサルデザイン推進支援講座
委託者 愛知県(福祉局福祉部障害福祉課)
実施講座 実施日時 実施会場 参加人数
計153人
2021年11月2日(火) 14:00~16:00 岡崎市役所 東庁舎7階701号室 10人
2021年12月8日(水) 14:00~16:00 豊田市役所 東庁舎7階大会議室4 58人
(内訳:会場参加者43人/WEB参加者15人)
2021年12月14日(火) 14:00~16:00 西尾市役所 庁舎5階51会議室 35人
2021年12月22日(水) 10:00~11:50 北名古屋市役所 西庁舎4階大会議室 22人
2022年2月8日(火) 10:00~12:00 犬山市役所 本庁舎2階205会議室 28人
講師
  • 富永さかえ(第一部:講義担当)
  • 三浦均、林羊歯代(第二部:ワークショップ担当)
  • 片岡晴彦、近藤俊郎(色弱当事者スタッフ)
目的 ワークショップをとおして色覚の多様性について理解を深め、カラーユニバーサルデザインの必要性を認識するとともに、カラーユニバーサルデザインの普及促進を目的とする。
内容

講座は以下のように前半60分の講義と後半60分のワークショップで構成されている。


○第1部:講義「色覚の多様性とカラーユニバーサルデザイン」(一部を除き各会場共通)

  • 色覚の多様性について
  • 色弱者の見え方の特徴(当事者による解説)
  • 色弱模擬フィルタ(バリアントール)をかけて50色の色紙を5種類に分けるワーク(色の見え分けにくさの体験)
  • CUDの事例および具体的手法の紹介

○第2部:ワークショップ(会場ごとに異なるプログラムとして実施)

  • 各部署が発行する印刷物をCUDの視点で再確認し、気づきを共有するグループワーク(豊田市、西尾市、北名古屋市)
  • 教材として用意した史跡巡りマップのルートや折れ線グラフの色をPowerPointのスライド上でCUD対応に変更する個人ワーク(岡崎市、犬山市)

〇ワークシートとアンケートの記入および講座のまとめ

まとめ

カラーユニバーサルデザイン普及キャラバン隊事業について

本事業は、誰に対しても見やすく分かりやすいデザインの普及を目指し、色覚の多様性とカラーユニバーサルデザイン(以下「CUD」と称す)についての知識と理解を深めることを目的として、愛知県が企画した委託事業です。今回はカラーユニバーサルデザイン普及キャラバン隊事業の第2弾となります。2018年2月に県の福祉局福祉部障害福祉課が「すべての人にやさしい情報を届けよう――視覚情報のユニバーサルデザインガイドブック」を発行し(https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogai/3456.html(外部サイトに移動します))、それを機に2018年2~3月には愛知県カラーユニバーサルデザイン普及セミナー(岡崎市、名古屋市)(https://cud.nagoya/event/reports/municipality/p20180228/)が、次いで2018年12月には愛知県カラーユニバーサルデザイン普及ワークショップ(名古屋市)(https://cud.nagoya/event/reports/municipality/p20181217/)、そして2019年10~12月にはカラーユニバーサルデザイン普及キャラバン隊事業の第1弾として「学校のカラーユニバーサルデザイン推進支援講座」(半田市、東栄町、愛西市、豊田市、刈谷市)が実施されました(https://cud.nagoya/event/reports/municipality/p20200315-aichi2019/)。第2弾の対象者は、公募によって選定された岡崎市、豊田市、西尾市、北名古屋市と犬山市の市役所職員の方々です。幅広い部署から計153人の参加がありました。

講座内容と評価

講座は、前半60分の講義と後半60分のワークショップの二部構成としました。前半の講義では、色弱当事者自身の解説と色弱模擬フィルタ(バリアントール)を使った視覚体験によって、色弱者の見え方と色覚の多様性を理解していただくとともに、CUDの事例と手法を具体的に紹介しました。CUDについて話す場合は、なるべく各市のウェブサイトや広報物を取り上げる工夫をしました。続く後半のワークショップでは、参加者が所属する部署が作成・発行した印刷物等をCUDの視点から検討して気づきを共有するグループワークや、誰にとっても見分けやすい配色を考案する個人ワークのプログラムを参加自治体の希望に応じて実施しました。講座の様子は、添付資料「CUD推進支援講座2021_記録写真(PDF、約2.3MB)」にてご覧ください。

講座の評価については、講座終了時に行ったアンケートの結果から5会場ともにおおむね良好であったことがわかります(添付資料「2021CUD推進支援講座アンケート集計結果報告(PDF、約1.1MB)」、2ページ参照)。講座があなたにとって有益でしたかという問いに対して、アンケートの全回答者137人中116人(84.7%)が「ひじょうに有益だった」、19人(13.9%)が「まあまあ有益だった」、1人(0.7%)が「普通」と回答しています(それ以外は0%)。この数値が特に高いか否か、他の委託事業と比較していないため一概には言えないものの、99%が「ひじょうに有益だった」か「まあまあ有益だった」となったことは、喜ばしい結果でした。具体的にどういった点が評価されたかについては、続く「参加者の感想(アンケート自由記述抜粋)」をご覧ください。

リフレクション

以下に、講座実施者の振り返りとして事業の実施報告書にも記した内容を挙げます(添付資料「令和3年度カラーユニバーサルデザイン普及キャラバン隊事業 事業実施報告(PDF、約100KB)」参照)。これらは、講座終了から1ケ月程度後に実施者から寄せられた声の一部をまとめたものです。総括として十分に練られたものではありませんが、準備に膨大な時間とエネルギーをかけたこと、PC利用における市役所ならではの難しさがあること等、上述の「講座内容」を補う内容となっています。

  • 参加者の反応がよかった。参加者の多くが、関心をもってこちらの話に耳を傾けてくれているという実感がもてた。
  • 事前の準備に膨大な時間がかかった。市のホームぺージや、現地に赴いて集めた市民向けの広報誌やチラシ等をCUDの視点から皆で確認し、その結果をそれぞれのスライド資料に反映させた。たしかによい反応は得られたが、時間をかけ過ぎるのも問題がある。メニューや教材を会場ごとに変えず統一してもよかったのではないか。
  • 庁舎内のPCではインターネットで外部サイトにアクセスすることもままならない。色弱者の見え方をシミュレートする使い易いアプリケーションをインストールし、自分が作成した書類の色づかいをチェックする実践的なワークができたらよいが、実行するのは難しい。だからこそ、アプリケーションの紹介の仕方を工夫していきたい。
  • 50色の色紙を分類するワークにかける時間が十分に取れず、もったいなかった。なぜ橙と黄緑、濃いピンクと水色を同じグループに入れるのか、そこは押さえておきたいポイントでもあるので、フォローする時間は確保したい。
  • 全体として反応がよかった。今回のカラーユニバーサルデザイン推進支援講座は、アンケート集計結果が示すように、その目的を十分に達成できたといえるのではないか。赤の文字で強調することが当たりまえだと思っていたが、まったく強調されて見えないひともいることに気づけた、これからはCUDの感度を高めて広報物を作っていきたい。そう語っていた参加者がいた。情報を発信する方々の意識が変われば、CUD普及促進は加速する。そのことを実感させる言葉だった。今回参加された方々が、今後県内でCUDをさらに広めてくれることを期待したい。
  • 講座の募集に9市から応募があったと聞く。またアンケートの自由記述でCUDについてよく知らなかったとの声もひじょうに多かった。それだけに、今後も市町村職員を対象とするキャラバン隊事業の需要は十分にあるのではないか。今後もこの事業が継続されることを願う。

参加者の感想(アンケート自由記述抜粋)

アンケートの最終設問は講座の感想を自由に記述してもらうもので、ひじょうに多くの感想や意見が寄せられました。何人もの方が書いておられたのは、色弱者の見え方(たとえば赤と黒の組み合わせがひとによっては見えづらくなる)を知って感じた驚きです。そして自分たちの意識ひとつで、市民向けの情報のアクセシビリティが高くも低くもなることへの気づきと、CUDの知識を活かしたいとの強い思いでした。これらを読んでいますと、市民生活を支える市役所こそCUD普及の拠点になってほしいと感じました。会場ごとにほぼすべての記述を掲載した報告書を添付していますので、ぜひそちらもご覧ください(添付資料「2021CUD推進支援講座アンケート集計結果報告(PDF、約1.1MB)」参照)。 以下に、アンケート自由記述に寄せられた感想の中から、本講座の有用性を具体的に示しているもの、また今後CUDの普及活動の在り方を探るうえで参考となる声をいくつかご紹介し、まとめといたします。

  • CUDを意識して配色することの難しさを痛感しました。ツールが必須です。また配色以外の工夫は取り入れやすいため、積極的に取り入れたい。庁内に印刷物等のチェックができる場があるといいです。
  • 当課の冊子に見分けづらい配色がされている箇所に気づくことができました。冊子増刷のタイミングだったため、業者にCUDを取り入れることを依頼できます。改善のきっかけとなりました。
  • バリアントールの効果を参加者が実感していた。赤が黒く見えることのインパクトが強く、赤を否定する傾向が強くなることが懸念されるので、C型の人も含め「誰もが見やすい」という観点が重要だと感じました。今回このような研修会を開催していただき、市役所内のCUD普及の第一歩となりました。
  • 色というのは数値化できない感覚なので、配慮の重要性は分かったが、実際に配慮した資料をつくるのはかなり難しいと感じた。そのような中で、スマホアプリはとても汎用性が高く、紹介していただけたことはとても良かったと思う。
  • ワークを行ったことで意識というか、当事者の方の気持ちが少しわかった気がします。色の違いはもちろんですが、太字、アンダーバー、文字の大きさで強弱をつけることも有効であると思いました。
  • 色弱の見え方体験だけでなく、当事者の方の話を聞けて興味深かった。現在、市民向けの仕事をしていないが、内部資料においても、色に配慮したり、濃淡による見やすい資料作りを心がけていきたい。口頭説明の機会があるときは、色に頼らない説明を心がけていきたい。この研修を機に、CUDを自分ごととして考えられるようになり有意義だった。
  • 色弱の方は身近に多くいらっしゃること、黒字の中の赤字は強調にならないことなど新たな気づきや発見が随所にあった。バリアントールを使用した色弱模擬体験はとても貴重だった。発行物作成の際には、色弱の方の見え方checkは確認作業の1つに加えることもよいのではないかと思う。
  • PCワークでカラーユニバーサルデザインに配慮したグラフ作りをした際に、色弱者の見え方に気を取られすぎて、そうでない人から見たときに見えづらい配色なってしまった。全ての人にとって分かりやすい資料作りがとても難しいと実感しました。
  • バリアントールがあると簡単にチラシの色のチェックができるので、貸し出し用に1つあるといいと思った。新人研修でカラーユニバーサルデザインの研修があるといいと思いました。
  • たまに、チラシ等作成したり、確認することがあります。一般的な視覚でみる「見やすさ」しか考えていませんでした。しかしこの研修で、全くちがう色でも同じような色に見えてしまう驚きが多くありました。今後はこの様な点にも気をつけ、誰もが分かりやすいように作成していくことが必要だと思いました。北名古屋でも、CUD用のメガネが貸し出しできるようになると良いなと思いました。
  • カラーユニバーサルデザインについて全く知らない職員が多いので、今後チラシやHP等の広報活動する時に配慮するようにしていきます。

資料ダウンロード

以上 (2022年8月15日作成)

追記

令和4年度 (2022年度)「カラーユニバーサルデザイン普及キャラバン隊事業」事業実施団体として委託されました。案内ページはコチラをご覧ください。 (2022年9月13日追記)

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