街のCUDチェックツアー002「名古屋市科学館」の成果

私たち「NPO 人にやさしい色づかいをすすめる会」は、2018年10月13日(土)に街のCUDチェックツアーpart2として、名古屋市科学館内をカラーユニバーサルデザイン(CUD)の視点で観察するフィールドワークを実施しました。チェックツアー終了後、館内で改善が必要だと感じた点を取材写真とともに科学館にお伝えしたところ、以下にご紹介する3点(避難経路図、スロープ配置表記、月間イベント案内掲示)についてさっそく改善くださいました。

避難経路図

理工館5階の緊急避難経路図です。「現在地」と「避難経路」の赤色マークが小さくて目立ちません。右のP型色覚の見え方の一例を見ると、「非常口(非常階段)」の緑色と展示エリアのオレンジ色が見分けにくいことがわかります。凡例が離れているところも図を読み取りにくくしています。

これは改善後の2階の緊急避難経路図、下の写真はその拡大部分図です。「現在位置」の文字がかなり大きくなり、線で位置が示されているので、とても見やすくなっています。「現在位置」の文字と線を透明のフィルムに印字して貼り付けたもので、「非常口」マークも手製のシールだそうです。コストのかからない見事な改善事例となりました。

スロープ位置表記

階段の直ぐ傍にあるスロープへの誘導看板。これは改善後の写真です。右向きの大きな矢印があるので、車椅子のひとは階段手前でどの方向に行けばスロープがあるか直ぐにわかります。以前は、車椅子マーク下の図面をよく見ないとわかりませんでした。色づかいに関することではありませんが、UDの視点から改善が必要と名古屋市科学館の方にお伝えしたところ、表示が変更されました。

月間イベント案内掲示(職員の手作り)

1階エントランスに掲示されていた「ものづくり教室」の案内掲示。青地に黒文字、黄地に赤文字の吹き出しがありますが、青の方は地色が暗いため、黒文字が一般色覚者にとっても、読みにくくなっています。もう少し青を薄くして文字と明度差をつけると読みやすくなります。
下の写真はP型色覚の見え方の一例です。青い吹き出しの地色が暗く黒文字が読みにくいことと、さらにタイトル「ものづくり教室」の赤文字が目立たないこともわかります。

1階エントランスのイベント案内掲示の色づかいが変わりました。黒地に白抜きの文字となり、とても読みやすくなっています。しかし明度差が大きいため目が疲れることもありますから、黒地に白抜き文字ばかりにならないようにしたいところです。
右のP型色覚の見え方の一例では、赤地に白抜き文字の帯状部分が黒の背景に沈んで見えています。ここで使われている赤は、一般色覚者にとって典型的な、赤といえば多くの人がイメージする赤です。これを橙寄りの朱赤にするだけで、P型色覚のひとにとっても目立つよう黒地と色差をつけることができます(下の図参照)。このようにCUDを意識することで、誰にとっても見やすい色づかいを提供することができるのです。

C型(一般色覚)の見え方(名古屋市科学館のものとは異なります)
P型色覚の見え方の一例
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